音楽家・権頭真由・佐藤公哉による活動報告
佐藤 我々二人でやっている「音のてらこや」という活動の話をしたいと思っていますが、はじめに自己紹介をすると、僕は「音のてらこや」以外では音楽のイベントに出たりしていて、東京芸術大学の音楽創造環境科というところを卒業して、在学中から音楽をやっていました。彼女(権頭)は小さい頃から音楽をやっていたんですが、僕は小さい頃から画家になると言って、美術の方を目指してきた人間です。途中で方向転換して音楽学部に入り、そこから音楽の方に進んでいます。
「音のてらこや」を始めるもっと前から彼女とは一緒に活動を共にしていて、「表現」というバンドは、僕はヴォーカルとバイオリンをやって、彼女がアコーディオンとヴォーカルをやって、もう一人がクラシックギターとヴォーカル、そしてコントラバスという4人編成で、そのバンドもこの地域に関わりがありました。
僕は、バンド活動以外に在学中から学科の先輩が始めた「もび」という子どもを対象にしたワークショップや公演活動をしています。小学校に出かけて行ったりとか、横浜の舞台芸術の人たちがよく利用する「急な坂スタジオ」で神奈川県の子どもたちと毎年夏にワークショップをやっています。年の初めに世田谷文学館というところでワークショップをやっています。在学中からなのでだいぶ長くやっているんですが、「もび」は年に一本とか単発の活動なので、継続的に子どもたちと関わっていくことはやりたいとは思っていて、それが「音のてらこや」の動機だったりします。
権頭 私も普段音楽活動をメインとしていて、「表現」と東大前に住んでいる人と一緒に「momo椿*」というアコーディオン2台のデュオ活動もしています。谷中付近で演奏したりとか、何かとこちらの地域とは縁があると思っています。
世田谷の方にあるプレスクールで、幼稚園に入る前の子どもたちの先生をしていて、一緒にお散歩に行ったり、ご飯を食べたりするのですけれど、音楽をやっているということで、リトミックの講師や歌とピアノの教室の先生をしています。プレスクールで教育熱心なお母様が、幼稚園に入る前にネイティブの先生の英語と、生きたピアノの音のリトミックと、と、熱心な方が多くて、私もその声に答えたくて、伝統的なリトミックのやり方にのっとって、いわゆる音楽教育をしっかりしようという少し背筋を正してやるようなところがあります。ピアノの先生ももちろん自分のやりたいことをやっているのですけれども、組織の中の一員ということであまりやりたい放題出来ないというか、個人レッスンの30分という時間は短いし、なかなか創造的な対話は続かないなと思っていたところに「音のてらこや」の活動の話が持ち上がって、それならば自分が本当にやりたいことが出来るかもしれないし、世田谷の子どもたちにも「音のてらこや」の活動を生かした活動が30分という時間でもできるかもしれないなと思いました。
「音のてらこや」のはじまり
写真:鈴木竜一朗
佐藤 「音のてらこや」というのはお寺さんでやらせてもらっていまして、本駒込の駒込大観音にある光源寺の境内と、境内にある蓮華堂という建物を主に使わせてもらって毎週水曜日の14時半から17時半くらいに子どもたちに集まってもらっています。対象年齢は最初は4歳と言っていたのですが、3歳児が何人か来たので下は3歳から一番大きい子はこの4月で小学校2年生になります。始めたのが一昨年の11月なので、始めてから1年半くらいになります。
「音のてらこや」を始めるきっかけを辿ると、このお寺さんになるのですけれど、光源寺さんで毎年7月9,10日に「ほおずき千成市」というお祭りをやっていて、「momo椿*」や「表現」が参加したりしていて、そこで僕たちの演奏を聴いた当時2歳の女の子がいるお母さんが、ご自身も踊り踊っている方で、今度「記憶の蔵」という場所で公演をするのだけれど、その音楽をやってくれないかというお誘いを受けて、その音楽を二人で担当しました。その縁で地域のお父さんお母さん方と繋がっていくことになりました。「たねっこ」という自主保育のネットワークが谷中の地域にありまして、今は解散していると思うのですけれど、お父さんお母さんの横のつながりで子どもの預け合いをしたり、会合をしたり、催し物を開催したりしていて、僕らも音楽活動をする中で仲良くなっていきました。2010年には谷中周辺のお母さん方主催で、上野公演の不忍池のほとりにある水上音楽堂というところで、「虹の種」というオイリュトミーの公演をやったりとか、ジャグリングの人呼んだり、「表現」が出演したり、親子フェスティバルをやったのです。
そのつながりを元にこれが出来ているという感じなんですけれど、大きなきっかけとしては2011年の震災があった後に、たねっこのメンバーの一人が、熊本の阿蘇にご実家がある方がいて、東京を離れたいという人を受け入れるという動きがありました。阿蘇で大きい一軒家を借りて、たねっこの人が行けるような環境を作った方がいて、夏頃に楽器を持って旅をしていたときに寄ってみたのです。そこに滞在していたときに、地域で音楽教室みたいなのをやってくれないかなという話をもらって、真由ちゃんに声をかけました。元々「もび」でやっていたことが単発だったので、継続的なのをやってみたいというのもあって、動いてみるかということに。この光源寺さんは無償でお借りしています。地域の活動にとても協力的なお寺さんで、公共の場としても機能させたいというのもあって、この場を借りて運営をしています。個人個人の子どものお家に行って、ピアノやバイオリンを教えるという活動もしています。そんな感じで「音のてらこや」は2011年の11月から始まりました。
権頭 私は子どもが大好きで、一緒にいると感動的な時間を過ごせることに本当に感謝しているのですが、こんなに大好きで音楽も好きなのですけれども、母という存在にあまりに畏敬の念を抱きすぎていて、子どもはいつも母に帰るから、私がどこまで介入していいのかわからないところがありました。でもこの地域はそういうちょっとした壁みたいなものを作っていないというか、いつでもオープンで、ちょっと希有な地域だと思うのですね。そのおかげと、震災があったことでみなさんの意識が変わって何かが始まったなという気がしたことや、いろんなタイミングが合わさってこれが始まったという感じです。
「音のてらこや」の活動で意識していること
権頭「音のてらこや」がどういうことを意識しながら音楽と子どもたちと対話をしているか、問題意識という辺りのお話を。音楽教育とか音楽教室というと、西洋音楽、いわゆるクラシック音楽に焦点をあてて、その音楽の再現に努めることが一般的な音楽教育になっていて、楽器の技術とか音楽についての知識を身につけることも必要だけれど、私たちは何もなくなっても音楽は絶対に出来ると思っています。例えば、楽器とか楽譜じゃなくても周りの物を見回して聞き入ってみる。自分が持っているものに耳を傾けてみる。それがどんなに豊かなことかというのを思い出そう。それは大人にとってもすごく大事なことだと思うのですけれども、子どもにとっては多分、意識しなくても普段していることであって、あまり特別なことではないのですけれど、私たちがちょっと手助けをしたりすることでもっと確実に歩めるんじゃないかという気がしています。きれいなメロディがあって、素敵な楽器の伴奏が音楽、と思っている人がいるかもしれないけれど、子どもたちはそれが全てではないこともよく知っていると思うので。
佐藤要するにドレミとかはほとんど何もやっていないということです。ピアノの教室の方ではもちろんやっているのですけれど、グループの方ではどういうことをやっているかというと、、
権頭私たちもお寺を借りて、二人で一緒になってやっているので、今まで記録というのをほとんどしていなくて、これは友達の写真家がたまたま来てくれたときの風景があるだけで少なくて申し訳ないです。
写真:鈴木竜一朗
佐藤これは「音のてらこや」を始めた頃には必ずやっていたことで、輪になって手をつないで、お母さんと離れられない子はお母さんと一緒に輪になって手をつないで深呼吸。お腹の中にある空気を空っぽになるまで吐く。お腹をいっぱいにするまで思いっきり吸って、思いっきり吐いてというのをやって、それから呼吸を声にしていくということをやって、輪の状態でいろんな声を出す。高い声とか、低い声とか、面白い声とか、今度はこんな声はどうかと子どもたちに提案したりして、「呼吸と声」というのを最初から中心に据えてやっています。
権頭 リトミック的なところでは、こちらの演奏に反応していろいろ動いてもらう。わりと形式化してしまっているけれど、テンポが速くなったら速く動くとか、ジャンプの音楽とか、ドシンドシンの音楽とか、いくつか型があって、子どもたちは元気がありあまっているので、外で疲れさせるまで音楽で操るという狙いもあって(笑)、音楽で体を操るのと、その逆も面白くて、子どもたちの動きに操られて私たちが音を出すというのも、みんな難しい動きをしてきて、単純な対応では済まされなかったりします。
佐藤 (配ったプリントに)「実施内容」のところにキーワードとしていくつか挙げているのですけれど、今話したのは「音⇔体」のやりとり。指揮者ゲームだったら、子どもが動いたことに反応してこちらが音を出したり、子ども同士でやってもらったり。こちらの音に反応して動いてもらうとか。「音⇔イメージ」とあるのは、絵を描かせるということもやっていて、これは毎回キーワードから絵を描くということもやっているのですが、これは僕の演奏を元に絵を描いてもらっているところですね。
写真:鈴木竜一朗
自分で描いた絵を元にそれを演奏するというのもやっていて、例えば、「風」がテーマだったとしたら、外で「風」に関する何かを感じる。目を閉じて、音だったり質感だったりを記憶してもらって、あとで室内に入って絵に描いてみる。 今度は自分たちの描いた絵を元に、この頃は一人一人自分の描いた絵を楽譜として置いて、発表することを意識して、和室の中や境内で一人一人演奏してもらうこともやっています。
光源寺のご好意で楽器も置かせてもらっていて、子どもは太鼓が大好きで、叩いて音が出るというのもあるし、ストレートにフィジカルというので音に対して体も反応しやすいというのもあるのか、太鼓を2種類、ボウル、ピアニカ、ハーモニカ、ツィター、ギター、サックス、笛、アコーディオン、ヴァイオリン、鳥笛、カリンバなどいろんな楽器を置かせてもらっています。
この楽器はまじめにやらないと出来ないからやらない、とか、そこまで子どもたちはわかってしまっている(笑)。
プリントの実施内容にある「呼吸」というのは、拘りでもあって、音楽だけじゃなくて、踊りにせよ何にせよ、すべての基本であって、息を使う楽器は当然なんですけれど、手先で演奏するような楽器についても「呼吸」は大事になってくるので、芯として持っています。輪になって深呼吸して発声していくワークが生まれてそれはずっとやっています。
そこに拘る理由で、ポーリン・オリヴェロスというニューヨークを活動拠点にしている現代作曲家の人が書いた本『ソニック・メディテーション』には、音とか呼吸とか、じっと耳を傾ける「傾聴」=ディープ・リスニングということに焦点をおいた小さなワークショップ、ゲームみたいなものがたくさん書かれていて、僕らのバンドでも時々実践しているワークがあります。「飛ぶことの自習」というのを読んでみます。
「飛ぶことの自習」
何人でもよいが、中心に向かって輪になって座る。ほの暗い青い光で空間を照らす。自分の呼吸をただ観察することから始める。常に客観的であること。次第に自分の呼吸の音が聞こえるようにする。そして、徐々に声に変えていく。自然に任せてあなたの声帯を振動させる。その声を非常にゆっくりと強めていき、自然に全員が静まり返るまで、可能な限りそれを長く続ける。常に自身の呼吸のサイクルを意識すること。
【応用】声の代わりに楽器で演奏してみる
これは、この本の中で長いものなのですけれども、一人だったりグループだったりで簡単に実践できるゲームのようなワークです。短いのだと、
「生まれたままに」
夜散歩する。足の裏が耳になるほど静かに歩くこと。
という一行だけのものもありまして、最初に紹介した「飛ぶことの自習」というのは、四人編成のバンドでもたまにやって、これをやると時間感覚が変わるし、集中力の次元もワンランク上がって、リフレッシュのためとか、そのあとにセッションに流れ込むと面白い素材が出てきたりとかもするので、自分たちの経験からも、「傾聴」ということと「呼吸」は、クラシックでもパンクロックでも、音楽以外でも自分の意識状態、集中力を上げるところがあるので重要視してやっています。
権頭 「傾聴」という、物とか人とか自分に“聴き入る“と私は言っているのですけれど、子どもたちにとって楽しいやり方としてよくやっているのが、まず目を閉じて1分間静かにして、何もしゃべらないで、全身が耳になるように、耳に変身する。1分間経ったあとに、聞こえた音を発表する。それから聴こえた音を描いてみる。年中年長さんになると具象物が上手だったりするので、車の音だったら車の絵を描いたりするのですけれど、もう少し小さいと、リズムで描いたり、色の雰囲気で描いたりして、なるほどと思って見ています。
静かにしないと聴こえない音を部屋の中に仕込んでおいて、音の宝探しみたいなことをして、蛇口から水が垂れるようにしておいたりとか、これがけっこう難しかったです。もっとすぐ見つかるかと思ったんですけど、音が溢れていて、子どもたちでも普段そこまで聞けなかった耳の澄ませ方、発見ができた。
佐藤 「交換・交感」に関係してくるワークがあって、子どもたちに空気の玉を作ってもらって、その空気の玉に響かせるように声を出してもらう。そのイメージがあるので、体が勝手に反応してくれて、小さくというと体も小さくなり、大きくというとどんどん大きくなって、和室だったらみんなで広がって、可能な限り大きな声を出してみんなで大きな声のボールを作るというのをやって、「それをどうしようか?」と聞くと「どこかに飛ばす」「誰かに渡す」というのが出てきて、「あっちの空に飛ばすよ」 単に大きな声を出すとか小さな声を出すというよりも、ここに響かせるという意識を持っていると、自分の声に集中しなくても、それに合った声が自然と出てくるのですね。
権頭 自分の音を誰かに渡すために出すということをすると、みんな相手を思いやってるということがわかるというか、小さい子に渡すときはやさしかったりするのが感動的なのです。小さい子に渡すときは「はぁ〜」とか言ってやさしいんです。
佐藤 俺とかに渡すときは、元気玉みたいに溜めてから思いっきりぶつけてくる(笑)
権頭 目線とかも見えないはずの音をみんなが追って、そういうのが面白い。 頭のてっぺんから出す声とか、指の一本一本から出す声っていうと、子どもたちが、自分に持っている体のイメージが声のイメージでわかるというか、それがバラバラなのです。自分がこうありたいと思っている体のあり方とか感情を声で表そうとしているのかと思うと面白いですね。
佐藤 プロの音楽家でも気づいて実践している人とそうでない人がいますが、演奏家として舞台に立ったら、その空間を自分の音で染めていく必要があるし、そこに集まっている人たちに対して届けるイメージがあるのとないのでは、テクニックの上手い下手に全く関わらず、演奏会の質が意識によって全く変わってくると思うので、そういうところは大切にしようと思っています。
子どもたちとの個人の活動について
権頭 こちらのカフェにもお菓子を提供しているnicorito(※1)のお家にも毎週火曜日にお邪魔して、ピアノのレッスンをさせてもらっているのですけれど、個人の「音のてらこや」の活動の話をします。
今は私がピアノと歌の個人レッスン、公哉さんがバイオリンとギターの個人レッスンをしています。私はピアノが4人と遠方の子が1人と、歌が1人、あとは不定期にやっています。
グループでは大人数ならではの音のアンサンブルの楽しさやハーモニーの楽しさは大人数でないと実感できないことなんですけれど、また、同じものを見ていても感じることがそれぞれ違ったりすることに驚いたり、友達同士で感想を言い合えるよさがあるんですけれど、個人の場合は、レッスンを1時間とらせてもらっていて、1時間は幼稚園生にとっては長いと思うんですが、毎回足りないと思うくらい楽しませてもらっています。一時間目一杯心ゆくまで対話をするということをしています。
私がお宅にレッスンをしに行くまで、朝起きて幼稚園に行ったり、お母さんとお話したり、泣いたり、いろんなことがあって、それを聞いて例えば伴奏をつけるだけでも豊かな時間なんですけれど、一時間では足りなくなってしまうので、基本的にはどういうことをしているかというのを紹介します。
にこちゃんとりとくんの場合は体を動かすことが大好きで、振り付けが面白くて、けっこう動きます。これは私たちがにこちゃんの音に操られている。
普通にテキストを進めるという達成感というのも感じてもらえると嬉しいので、それもやっています。
そして、ピアノの響きがよく体に入ってくるクラシック音楽を聴いて、描いてもらいます。「てらこやノート」を持っていて、発見した音とかを描くノートがあるんですけれど、りとくんは、私が弾いたバッハを聴いて、いろんな色を思い浮かべて描いています。
私が弾いたバッハをりとくんが絵に描いて、その描いた絵を楽譜にして弾いたのもあります。私が伴奏しようとしたら阻止されました(笑)。どこまでもループする活動です。
にこちゃんはアイドルが好きなので、楽譜にドレミをつけたものを、アイドルになりきって歌うソルフェージュ(※2)をしたり、次の動画は描いたイメージを即興で弾いてくれています。
即興は毎回やっているんですけれど、この他には絵本の好きなページを曲にするということもやっていて、個人は個人でけっこう密な時間がとれるので、これも私はとても大事にしています。
成果発表「音のてらこや演奏会」
権頭私たちにとって宝物のような音楽が即興で生まれては、音楽だから忘れ去られていくのですけれど、誰かと共有したり、伝えるための作品を作りたいというのがあって、今までに2回発表会をしています。みんなで作った活動の成果発表と私のピアノの教室の成果発表をしました。
佐藤 作品づくりのプロセスとしては、これをやろうと持っていっているわけではなく、グループワークで何かをやっていく中で、例えば、みんなでカリンバを作って、体につけたらどんな音がするとか実験してたのですけど、「ピンピンしか言わない!」っていう子がいて「それ面白いね」となって、子どもが言った独り言から「ピンピンしか言わない♪」という歌が出来て。
それを「変な歌!」と言った子どもがいたら、それもまた取り込んで「ヘーンなうた♪へーんなうた♪へーんなうた♪」って歌っていたら、「変なブタ?」という子がいて、「変なウタ」「変なブタ」に変わるストーリーが生まれて、その変なブタを視覚的に出そうということになって、「変なブタ」の何が変なのかという話をして、その「変なブタ」が「きれいなブタ」になるというお話になって、そのお話を元に、「綺麗なブタ」の音楽が出来て、それも誰かが言ったのだと思うけれど「きれいなウタ」になって戻って来るという。「変なウタ」→「変なブタ」→「きれいなブタ」→「きれいなウタ」というストーリーのカリンバの伴奏の歌を作っています。
てらこやノートに書けるようになったばかりの音符を描いてきた子がいて、五線がないのでピッチはないのですが、リズムのみがわかるわけなんだけれど、それをみんなで鈴を手や足につけて演奏してみることから初めて、それの練習をしているまた別なときに、別なところにのぼって遊んじゃっている子がいて「ヤッホー」とか言ってるんですよ。それをこのリズムの歌にしようと言って採用したりして作っていったりしています。
これが最初にやった演奏会で2012年の3月です。マザーグースの替え歌なんですけど、みんな気に入って、登場の歌になりました。
写真:鈴木竜一朗
次はウォーミングアップの「まねっこ」で僕の声や動きを真似してやっているところです。
権頭 『うたがみえるよきこえるよ』という私たちに示唆するような絵本がありまして、個人レッスンに持っていくと、好きなページがそれぞれあるので、そのサントラみたいな形で、6人のピアノの生徒たちが演奏してくれました。 この子たちはいわゆる発表会で人前で演奏するのは初めてなんですけれど、いい緊張を持って楽しんでやっていて、お客さんもけっこう笑ってくれました。
この子はポロポロっという色がとびちっている音が好きで、「こしょこしょぽらぽら」という題名をつけて、音が飛び散っている様子。
写真:鈴木竜一朗
これは眠り薬が入っているりんごを食べてしまって、眠ってしまっているところに、この二人が夢の中の夕暮れの音楽というのを演奏していて、みんなで作った鳥笛で、目覚めていくというシーン。
写真:鈴木竜一朗
今までの2回の演奏会は根津教会を借りてやっているんですけれど、今度6月に西日暮里公園の屋外で、今度は演奏会というよりも、サーカス小屋という形でやれたらいいなと思って計画を進めているところです。
最後に、振り付けを子どもたちが作った、雨が降ったときには必ず歌う歌を歌います。(権頭・佐藤の二人でアカペラで『あめやんや』を歌う)
権頭
「音のてらこや」で歌える歌がいくつかあって、さきほど見ていただいたものもみんなで歌を作ろうと始めるのですが、どんどんお話になってしまうので、自然と音楽劇という形になっていくのです。演奏会として見せるときには悩んだりもしたのですが、パンフレットの中には私が書いた散文のような詩があって、観てもらう人には想像をしてもらおうと思っています。
ドレミを基本としてないとはいえ、子どもたちの音感やリズム感は格段によくなっていて、それだけ普段の生活から面白さを発見したり、聴き入るということが生活に入り込んでいるのは、とても嬉しいことです。
※1) | もうすぐ3児の母。からだも世界もハッピーになれる食材でやさしいおやつをせっせとつくる毎日。現在、ほっ。とカフェ&バーにて第一・三水曜日におやつを提供中 |
※2) | 西洋音楽における基礎訓練。正しい音程で歌ったり、楽譜を正確によむことも含まれる |
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